岸田真理子公式サイト「金星美術館」のblog、“準備室だより”です。作品展のスケジュールなどをお届けします。
サイト運営担当のyamamomoが作品に感じたことや引き出されたことなどを、“見る側”のひとりとして書いたりもしています。

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>
記事のテーマ
以前の記事
コメント
                               
<< 「島時間」展へ行ってきました | main | ドローイング #28 >>
ドローイング #27 +島のお話
2001年に描かれた岸田真理子さんのドローイングをご紹介しています。



  岸田真理子 ドローイング 

   Special Thanks to: Ikezaki Tsuguhito



前回(またまた間があいてしましましたが)は、「島時間」展のことを書きました。
今日は、「島」のお話です。

実はこの夏、岸田真理子さんはしまなみ海道の島のひとつにアトリエを移されました。
その新しいアトリエへ、今度の尾道行きではお邪魔させていただいたのです。

受付係の住む香川県で長く制作を続けられてきたので、拠点を移されることが決まったときは少なからず複雑な思いもあったのですが・・・
作品展を見たあとは、そんな気持ちは消えていました。

Petit Pointさんで見た新作は、香川の果樹山での作品からしずかに響いていた旋律----いのちが生れることと死んでいくことが等しくいとおしい、どこまでも調和した音楽----をそのまま奏でながら、もっと無心に感覚が拡がっていくような絵でした。

その感覚をよくおぼえておこうと、胸の中で繰り返しなぞりながら島へ渡って、岸田さんと合流。

“島”と言っても、尾道市街よりむしろ開放的な風景が続いているのが意外でした。
アトリエは静かな住宅地の中で「意識して探したわけではないのに、辺りの土地の感じが香川とよく似ている」と岸田さんもおっしゃっていたのですが、わたしもそう感じました。

大きな道からそれると小刻みにアップダウンのある曲がりくねった細い道路が続き、家々の間には家族のための野菜や花を少しずつ育てている畑が点在していて、人家の灯りが消うと、文字通り降ってくるような星空。

少し高いところに敷地のあるアトリエは、どの窓からもほんのすぐそこに星が見えて、星の海に浮かんでいるような感じがしました。


“街”と橋で結ばれていて、人の動きに合わせて運行してくれる渡船に乗ればほんの数分で“本土”に立つことができて、島で暮らすことに敢えて不便と呼ぶほどのものはないと、もともとが田舎育ちのわたしは思います。
けれど、わずかにどこか、切り離されてもいる。何かを介さなければつながらない。
そのほんとうにわずかな途切れが、とてもいいと思いました。

夜----もしくは自分の時間---へ戻っていくときに、ほんの一瞬だけれど“外界”と切り離される。
それは、昼間の思いや感じたこと、考えたことを消化するのを促す、自然のスイッチになるような気がするのです。


翌日は岸田さんのご案内で島をひとまわり。島を取り囲む静かな内海は、数え切れないほどのいろんな青を見せてくれました。
昼間の青、その上空に満ちた光、夜の暗さと星々。
短い滞在で岸田さんとお話できる時間は限られていましたが、ここから生れようとしている作品のことを、島の光景からも感じさせてもらった気がします。

月舟は潮に導かれて、然るべき島へたどり着いたようです。



*記事タイトルの#XXというナンバーは、準備室だよりでのご紹介順を
 示すためのものです。作品にふられた番号ではありません




[writer:yamamomo]
| 作品のこと|ドローイング | 12:42 | comments(0) | - |
コメント
コメントする