岸田真理子公式サイト「金星美術館」のblog、“準備室だより”です。作品展のスケジュールなどをお届けします。
サイト運営担当のyamamomoが作品に感じたことや引き出されたことなどを、“見る側”のひとりとして書いたりもしています。

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「モモ」(部分)
岸田真理子さんの、イラストレーションの部分です。
立花テキスタイル研究所のポストカードから。


  
 「モモ」(部分)
   岸田真理子「モモ」 




春を、待っているところ。
受け止め、受け容れ、じっと黙って。

それがけしてたやすくはないことを、わたしたちは――わたしたちだけは、何度でも忘れるようです。

春へと急がない者たちは、やがてむかえる春と誰より親密にむすばれています。
だからきっとその姿に、春が重なって見えるのだと思います。



[writer:yamamomo]
| イラスト、カットのお仕事 | 23:29 | comments(4) | - |
朝日新聞カットと「風の便り」(銅版画)
↓ 4月は広島で個展が2つ、グループ展が1つあります 
岸田真理子 作品展 〜桜〜
 2010年4/1(木)〜4/30(金)

 9:00〜18:00  *月曜休み*
 at:ギャラリーカフェ Petit Point(プチポワン) 〈詳細はこちらから〉
 [4月18日からは同じく広島の福山で、5月は奈良で個展があります
 
[グループ展の情報は
こちら ※主催の木工房かくれんぼさんへジャンプします
銅版画展が、終わりました。
わたしを含めて会場に行かれた方は、まだまだ余韻の中だと思いますが
岸田さんは、恵風さんの搬出作業からそのまま尾道への移動準備。
この木曜日からは、「桜」展がスタートします。


そんな3月最後の月曜日、準備室だよりは
朝日新聞コラム「長針短針」カット+銅版画のご紹介、最終回です。

 朝日新聞カット(2000年)

岸田真理子 朝日新聞カット
       上のカットは掲載紙面のコピーを少し拡大しています。




 風の便り

 岸田真理子 エッチング「風の便り」
    銅版画の部分拡大図は、こちらの[イラスト+銅版画]のスライドショーで
    ご覧いただけます(16組目です)。



銅版画のディテイル、まだスライドショーをご覧になっていない方は
ぜひ見てみてください。表示順はいちばん最後になりますが、すてきですよ。



――つぼみがふくらんできたよ
――潮の流れが変わるよ
――生まれたよ
――もうすぐ終わるよ
――鳥が旅立つよ

風に乗って伝えられる無数の消息は、小さな種のようにそっと
わたしたちの中に降りてきます。
そしてやがて、絶えず生まれ絶えず終わりながら
途切れなくめぐっている者たちとわたしたちをつなぐ、森になります。

時に、もう戻らない何か、もう届かないどこかの便りも
混じっていたりして、ほろ苦さを伴うこともあるけれど
それもみんないっしょに、静かなやさしい森になっていきます。


[writer:yamamomo]
| イラスト、カットのお仕事 | 10:12 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「花になる鳥」(銅版画)
↓ 銅版画展始まりました! 
岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)

 12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
 at:ギャラリー恵風(けいふう) 〈詳細はこちらからどうぞ〉
 ・・・4月は広島で、5月は奈良で個展があります・・・

 朝日新聞カット(2000年)

岸田真理子 朝日新聞カット

岸田真理子さんの2010年最初の個展が、京都で始まりました。

旅行などで京都を訪れる方が多いこの季節、平安神宮にも近いギャラリー恵風さんを偶然訪れて、岸田さんの作品に出会う方がいたらすてきだなあ…そういう出会いをする方がうらやましいなあ、などと考えてしまいます。

朝日新聞コラム「長針短針」のカットとそれをもとに制作された銅版画のご紹介、15回目はちょうど今頃、3月に紙面掲載されたものです。

左のカットは掲載紙面のコピーを少し拡大しています。




 花になる鳥

岸田真理子 エッチング 「花になる鳥」
 銅版画の部分拡大図は、こちらの[イラスト+銅版画]のスライドショーでご覧いただけます(15組目です)。



岸田真理子さんにはいくつかの
“花になる鳥”というタイトルの作品があります。

そうした作品を見ていると、木の枝から枝へ飛びうつったり、
さえずったりしている小さな鳥たちのイメージが浮かんでくるのですが
そのイメージがなぜか、自分で実際に目にした光景よりもずっと、
たくさんの感覚を運んできます。

むねの羽毛のふわふわした感じ、ないしょ話みたいに控えめな温もり、
軽い羽ばたきが起こす一瞬の小さな風。

触れたことのない“知らないはずの感覚”をありありと伝えながら、
イメージは体の内側を拡がっていくのです。

やがて内側はイメージと意識だけになって
絵を見ているのとイメージを感じているのとの境目がなくなって
それから…ああ、鳥であることと花であることは“同じ”じゃないか、
と、わたしは思います。


見る人によってそれぞれ起きることはちがうと思いますが、
たとえばわたしの場合、のお話です。
| イラスト、カットのお仕事 | 23:56 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「夢の中の海」(銅版画)

↓ 岸田真理子さん個展、京都にて


 岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)

  12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
  at:ギャラリー恵風(けいふう) 〈詳細はこちらからどうぞ〉

  ・・・4月は広島で、5月は奈良で個展があります・・・


朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介、14回目です。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(2000年)

  

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちら ↓



 夢の中の海
   
 




海の中を思い浮かべてみるのと、夢の中のことを思い出すのと
似ているなと思います。

わたしの場合の話ですが、夢の中では音が何かに
吸いこまれてしまったみたいに、なにも聞こえない。

そこで聞こえるはずの音が“存在すること”はわかるんですが…
それはどこか別のところへ行って鳴っている、そういう感じです。
唇を動かして話されることばは、音を持たずに頭がい骨の中へ直接届いてきます。
水で満たされた海の中も、きっとそんな風でしょう。

夢の中は、ときどき海の中とつながるのかもしれません。
夢を見ているつもりで、知らないうちに海に行っているかもしれません。



     部分/右上の中央寄り

    岸田真理子 エッチング 「夢の中の海」




     部分/右下の中央寄り

    岸田真理子 エッチング 「夢の中の海」




葉っぱが魚になるのではなく、魚が葉っぱに変わるのでもなく
「葉っぱであるということ」と「魚であるということ」は、同じなんだ。

夢の中の海が――夢の中で行った海だけが、教えてくれる話。
そんな絵に見えます。




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| イラスト、カットのお仕事 | 23:35 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「Field」(銅版画)

↓ 岸田真理子さん個展、京都にて


 岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)

  12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
  at:ギャラリー恵風(けいふう) 〈詳細はこちらからどうぞ〉




朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介、13回目です。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(2000年)

  朝日新聞カット 岸田真理子

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちら ↓
(下の画像はほぼ原寸大です)



  Field
   
  岸田真理子 エッチング 「Field」




数えきれない事柄と、始まりも終わりも見えない長い時間を含んでいながら、たった一語でまとめられてしまうものはたくさんあって、わたしたちはしばしば、ことばの手際のよさに惑わされているような気がします。

ときどきは、接ぎ目も分からないほどきれいに整形されたことばを分解して、いったい何からできていたのだったか確かめてみるのがいいのだろう、と今日の作品「Field」は思わせます。



わたしが10歳くらいまで好んで読んでいた児童文学の中に「鳥は足の裏がとても敏感にできている」ということが書かれていたのを(特定の種類の話だったかもしれませんが)、なぜかよく覚えています。
地面をはなれている時間が長い分、地上に降りている間はせいいっぱいその動きを感じ取ろうとするのでしょうか。

同じ場所に生きていても、雨をよろこぶものと戸惑うものがあり、夜を好むものとおそれるものがあり、日射しを求めるものと明るすぎては生きられないものがあり……

植物も動物も、もちろんヒトも、そのように均質になることのない世界の一部なら、少しずつ重なりあいながら同時に存在している呼吸のリズムを感じていたい。

地中深くおろす根を持たず、動物のようにすぐれた感覚器官を持たないヒトは、ひそやかな呼吸を思うしかありません。胸の中にある景色や匂いや誰かのことばを手がかりに、耳をすますだけです。

けれど、そうやって目の前にはないものへ思いを向けると、ほとんど直にふれているのと同じように、あるいはそれ以上に深く、感じることができるのです。漠然とひとくくりにしていたものたちが、名前を取り戻していきます。

ヒトは、ゆっくりひとつずつ手がかりを見つけて、なくさないよう引き出しにしまっておけばいいのです。惑わされそうになっても、すぐ気がつくように。



     部分/上の中ほどやや右寄り

    岸田真理子 エッチング 「Field」




     部分/中央やや右寄り

    岸田真理子 エッチング 「Field」







     






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:50 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「世界」(銅版画)
↓ 岸田真理子さん個展、京都にて

 岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)

  12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
  at:ギャラリー恵風(けいふう) 〈詳細はこちらからどうぞ〉


相方さん(Power Mac G4)……どうやら落ち着いてくれているようです。
ずーっと不調だったところへ容態が急激に悪化して、一時はあきらめかけたのですが奇跡の復活。しばらくは様子見ですけれど、もうしばらくいっしょにやれるとうれしいな…がんばろな?(ナデナデ)

そんなこんなで数日間、異次元をさまよってきたような感じが残っています。
言語中枢の回転が戻っているのかよくわかりませんが、業務復帰いたします。


ではでは本題へ。
朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介、12回目になりました。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(1999年)

  朝日新聞カット 岸田真理子

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちら ↓
(下の画像はほぼ原寸大です)



  世界
   
  岸田真理子 エッチング 「世界」




この冬、気がついたこと。
野原や土手に生えている樹一一おそらく剪定などもほとんどされずに、そのまま育ってきたであろう樹一一の、とりわけ落葉樹の姿が、すべてとてもうつくしいということ。

どうして今まで気づかなかったのだろう、と思います。
うつくしいと感じることは何度もあったけれど、限られた特別な樹だけがそうなのだと思いこんでしまっていた。

何でもない日差しの中でも、薄暗い雨の一日でも、みごとに世界の一部で…
ただひとつの“うつくしさ”から世界は成り立っていて、ヒトはふと目を止めた場所に、その表情のひとつを見つけるだけなのかもしれません。静かに移ろうものには気がつきにくいだけなのかもしれません。

そう思いつつ、もうすぐ芽吹きの季節がやってきて、うつくしい枯木立に次の冬まで会えなくなってしまうことは、さびしい。

濃くなったり発光したりしながら気流のようにたえず巡っていく“うつくしさ”は、いつも同じ質量で、どこまでも調和した世界をつくりあげているのですが。



     部分/上の中ほど

    岸田真理子 エッチング 「世界」




     部分/中央

    岸田真理子 エッチング 「世界」







     






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:56 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「静かな成長」(銅版画)
↓ 2010年最初の岸田真理子さん個展、3月・京都にて。

 岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)

  12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
  at:ギャラリー恵風(けいふう) 〈詳細はこちらからどうぞ〉


受付係の近況を少し。

わたしの相棒は7年ほど前のモデルのMacintoshです。
今年に入ってから、古いなりにもパワーアップをはかったのですが……思った以上にしんどかったらしく、いまたいそう調子が悪いです。今日も都合8時間くらい、いろいろ対処法を試してどうやら動いてくれているような状態です。

どうしてパワーアップさせのか。
それはですね、「あの話どうなってるの?」とお思いの方がいらっしゃると思いますが、「金星美術館」本体=公式サイトの制作作業のためなんです。古い環境ではどうしてもむりだったので。

3月朔日のオープンをめざしていたのが相棒の不調で少し遅れていますが、なだめたりすかしたり(?)しながらも作業を進めてますので、遠からずオープンのお知らせもできようかと思います。もうしばらくお待ちください。
あ、わたくし素人なので、あまりゴージャスなものをご期待なさらないようにお願いしますね。
というわけで、予告もしてしまいましたのでますます励みたいと思います。


では11回目の、
朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)+それらをもとに制作された銅版画のご紹介です。
銅版画のほうは、このときにも一度お目にかけたもの。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(1999年)

  岸田真理子 朝日新聞カット

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



銅版画とあわせて、昨年末にご紹介したこちらのペインティングも見ていただければ…。
このカットから制作された作品はこちら ↓



  静かな成長
   
  岸田真理子 エッチング 「静かな成長」




たとえば誰かをすきになったとき、
“すきである”ということは事実としてわかっても、
“どうして惹かれるのか”が分からないことがあります。

あとになって、ああそういうことだったのか、と
前ぶれもなく識ることがあります。
それはたぶん、自分のことが分かったぶんだけ、
必要としていた理由が分かるということなんじゃないかと思います。

絵との関係も同じだなと、もう何年もわたしの手元にある
この作品を見ていると思うのです。
絵を見ながら、少しずつ自分のことが分かるようになると、
また絵の中にあたらしいものが見えてくる。
そのように絵と付き合いながら、これからも行くのでしょう。

出会ったときに分かるのは、自分を惹きつけているのが、
ただその作品のうつくしさだけではないということ。
そうやって、ことばにはならないけれど確かに何かを感じたら、
それを信じてかまわないと思います。

そして“その感じ”をどこかにおぼえておくことが、
きっととても大切なのです。



     部分/上の中ほど

    岸田真理子 エッチング 「静かな成長」




     部分/下中ほどのやや左寄り

    岸田真理子 エッチング 「静かな成長」







     






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:56 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「果実園Life」(銅版画)

↓ 2010年最初の岸田真理子さん個展、3月・京都にて。


 岸田真理子 銅版画展 〜満ちて日射し〜
  2010年3/23(火)〜3/28(日)
  12:00〜19:00(最終日は18:00まで) *月曜休み*
  at:ギャラリー恵風(けいふう)

  
〈詳細はこちらからどうぞ〉



さて、朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介を再開します。これで10回目です。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(1999年)

    岸田真理子 朝日新聞カット

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちら ↓
(下の画像はほぼ原寸大です)



  果実園Life
   
  岸田真理子 エッチング 「果実園life」




朝日新聞のカットのほうには、人影が描かれています(岸田真理子さんにおいては、はっきりと人のかたちが登場するのは、きわめてめずらしいことと言えます)。
銅版画では、鳥たちが現れます。色のちがう部分は色えんぴつではないかと思います。


水と風と地面があって、その中をめぐるいのちの営みがあって
おのおのの営みにいそしむことが、新しいいのちを開いている……

季節――いのちを導いていくもの――は、
ただ受け身でむかえるだけのものではない?
流れに身をゆだねることで、開いていくもの?
前になり後になり、ゼロになり同時にすべてになって?

カットと銅版画をいっしょに見ると、そんなことを思います。



ちょっと読解めいてしまいましたか。反省ですね。
見る人が今いる流れの大きさ・速さ・温度にあわせて対話できる深さを持つのが、岸田真理子さんという人の作品です。
3月の銅版画展、“ひととき愉しむ”だけではなく細胞の中にずっと残るような対話があると思います。春は落ち込む質のわたしも、このときは海を渡って、京都まで足をのばします。



     部分/左上のやや下寄り

    岸田真理子 エッチング 「果実園life」




     部分/中央下のやや左寄り

    岸田真理子 エッチング 「果実園life」







     






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:58 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「種の連絡網」(銅版画)

  岸田真理子さんが担当された朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介、9回目です。



    朝日新聞コラム「長針短針」のカット(1999年)

 岸田真理子 朝日新聞カット

      *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちらです ↓
(これは小さな作品で、下の画像がほぼ原寸大です)



      種の連絡網
   
      岸田真理子 エッチング 「種の連絡網」




これはわたしにとって、特別に印象に残る作品です。

初めて見たのは2001年、倉敷のサロン・ド・ヴァンホーさんでの個展で。
当時住んでいた大阪から倉敷へ、気軽に出かける道のりではなかったのですが、岸田さんの作品を知ってまだ日が浅かったわたしは今まで知らずにいた分まで、もっともっと見たいという気持ちがとても強かったのです。

岸田真理子さんが、会場に額装していない銅版画をいくつも持ってらしていて、その中にこの「種の連絡網」もありました。

とてもすてきな個展で、このままずっとここに居たいような気分で腰をおろし、銅版画のシートを1枚1枚めくっていくと…ドアをひとつひとつ開けていくみたいな感覚になるのでした。
ひとつ開けるごとに、世界と自分がなじんでいくようでした。

そうするうちに「この人の作品は1点も見逃すまい」という思いがくっきりと形を結び、ちょうどその瞬間に見ていたのが「種の連絡網」だったのです。

“自然”ということばでくくられる者たちの、ヒトにとっての側面を描くのではなく、ヒトに引き寄せて擬人化するのでもなく、ただ“ああもう、ほんとうにこのままなんだろう”と分かってしまう、そういう絵を岸田真理子さんは描きます。




      部分/左上

     岸田真理子 エッチング 「種の連絡網」




      部分/右側中ほど

     岸田真理子 エッチング 「種の連絡網」




      部分/左下

     岸田真理子 エッチング 「種の連絡網」




    






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:59 | comments(0) | - |
朝日新聞カットと「翼のある家」(銅版画)
岸田真理子さんが担当された朝日新聞コラムのカット(こちらに少しだけくわしくお話ししています)と、それらをもとに制作された銅版画のご紹介、8回目です。



     朝日新聞コラム「長針短針」のカット(1999年)

    岸田真理子 朝日新聞カット

       *画像は掲載紙面のコピーを拡大しています



このカットから制作された作品はこちら ↓
(下の画像はほぼ原寸大です)



  翼のある家
   
  岸田真理子 エッチング 「翼のある家」




岸田真理子さんの作品には、家がよく描かれています。平面だけでなく、立体でもたくさんの家の作品があります。
そして、その家たちはいつも、生きものみたいです。

家。
隅から隅までヒトの意思でつくられた、人工物です。「だから」と理由をつけるまでもなく、家=ヒトに属するものとして分類され、“ヒト以外のもの”との関係なんて、意識にのぼることさえきっとほとんどないですね。

でも家は、ヒトの暮らしを包みながら、外側では風を受け雨を浴びています。草木と同じように星明かりの夜を知っているし、鳥たちの休憩所になることができます。夕焼けの始まりから終わりまで、おつきさまがのぼってからしずむまで、ぜんぶ見ています。街の家も、田んぼの中の家もみんな、毎日。

誰のものでもない形で、世界とつながっている家たち。
すてきな気持ちになります。



     部分/右上

    岸田真理子 エッチング 「翼のある家」




     部分/右側中ほどの上寄り

    岸田真理子 エッチング 「翼のある家」




     部分/左側中ほどの下寄り

    岸田真理子 エッチング 「翼のある家」




     部分/左下

    岸田真理子 エッチング 「翼のある家」






     






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| イラスト、カットのお仕事 | 23:55 | comments(0) | - |
                                         
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